● 本当に唐突な長文でごめん。

●「松花堂弁当」というものがいつの頃からか世の中にあって、初めてその名前を聞いたのは多分高校を卒業してからだったと思う。茨城の地方都市の高校生にはまるで縁のない食べ物だったからだと思うけど、もしかしたら名前くらいはマンガの中に出てきて、聞いたことくらいはあったかも知れない。とにかく、仕出屋のメニュー表に「松花堂弁当」という名前があって、それで初めてどういうものかを理解した、という記憶がある。仕切りのついた重箱みたいな弁当箱に、ごはんとおかずが区分けされて満遍なく盛り付けられた華美なお弁当。要するに「過不足ない立派なお弁当ですよ」という、自腹では食べそうにない、いわば「よそ行きの弁当」なわけです。

● 仕事柄、そこから色々と調べてみて、大阪にある「松花堂」という茶室で出された懐石料理であること。発案者が「吉兆」の始祖となるおじさん(名前は忘れた)であること、それが評判を呼んで通称「松花堂弁当」として広まったということ。似ているようで「芝居の幕間に食べるなんでも弁当であるところの幕の内弁当」とは出自が違うこと。つまり高級であることを主張した俗称であるが故に、おかずの内容なんかが決まっている訳ではないのだ。とはいえ、和の弁当であるから、ハンバーグやポテトサラダなんかは入っていないわけで、子供舌のオレとしては「別にどうでもいい、どうせならポークソテーだのトンカツだのが乗った洋風弁当がいい」という結論に達するわけで、正直、50半ばを超えていまだに「松花堂弁当」を食べたこともないわけなのだ。

● そんなオレがなぜ松花堂弁当について考えているかというと、今日、街を歩いていてお値段2000円の「松花堂弁当ランチ」というのを見かけたからで、立派な食事を偉そうにしたいなら、ランチメニューなんてケチくさい事を言うのはどうなんだ?と思いつつ、でも、おかずによってはアリかな?とも思ったからだ。大抵の松花堂弁当は、刺身、焼き物、煮物、酢の物、漬物あたりが入ってるけど、オレは完全な好みの問題で漬物も浅漬けしか食べないし、酢の物に至っては匂いも嗅がない。だから和食となると急にバリエーションが乏しくなっちゃう。そんなわけで選出したオレの松花堂弁当は、以下の通り!

焼き物・ビフテキ!と言いたいところだけど、今回は和食なのでそこは我慢して「鮭の塩焼き」で行く。ぶりの照り焼きや、西京漬焼きも考えたけど白いご飯に合わせて最強なのはどうしたって焼き鮭だろう。
刺身・幕の内弁当でウインナーや卵焼きと刺身がくっついてしまうのはありえないけれど、おかずの間に仕切りが付いている松花堂だからこその刺身だ。こちらは王道の「マグロ」で行く。本鮪の赤身と中トロを盛り合わせつつ、ちょっと厚めのアワビ、イカなどを彩りに添えてもらいたい。ツマは大根と大葉があれば良し。
煮物・若い頃は食べられなかった煮物も、歳をとった今では美味しくいただくことができる。野菜の中では好きな部類に入るタケノコ、したけ、小ぶりの新じゃがあたりでどうだろう?なんなら豚の角煮を主役に立てて、肉成分をプラスするのも悪くない。
箸休め・お弁当というと、ほうれん草の胡麻和えみたいなものが入っていることが多いけれど、正直「ゴマはいらない」のだ。何を食っているかわからなくなるのと、ゴマの甘さが気に食わない。ここは素直に小松菜、またはほうれん草のおひたしにかつぶしがパラパラと振り掛けられて、そこに出汁醤油でさっぱり、というのが美しい。どうしてもり彩が欲しければ、ゆずの皮を飾ってあるくらいは許していい。小鉢・とはいえちょっと甘めのおかずも入れておきたいので、小鉢に数の子の入った松前漬があれば見た目も華やかになるだろう。懐石なのだから、ここに茶碗蒸しがついているとますます良い。ほんの少しで良いので鶏肉が入っていたら嬉しい。

● これに加えて、ほかほかの白いご飯と、アサリのお味噌汁がつけば……2000円出せる。いや、これは原価を考えたら2000円じゃ済まないかも知れないな。夢の「松花堂弁当」を考えたわけだけれど、これにはなんの結論もない。どこかにリクエストを出せるわけでもなく、自分でそういう飲食業に手を染めようという話でももちろんない。ぼーっとした時間に、ぼーっと考えた妄想でしかないのだ。色々とあり得ない非現実的な話でしかない。つまり、オレはどうやら松花堂弁当とは縁がないらしい、というのを確認するための時間でもあったわけだ。くだらない不毛な日記を長々と読んでくれたみんな、本当にごめん。

● なんかオレのタイムラインで『K2』『K2』言ってるから、登山のニュースでもあったのかな?と思ったら真船一雄のマンガ「スーパードクターK」の続編であるところの『K2』だった!びっくりしたな!イブニングでやってたと思ったら、今年からはWeb「コミックDAYS」に連載が移ってて、しかも今、全話読み放題になってるからなのでした!特に、盛り上がっているのが、低身長メガネっ娘のメインヒロイン、宮坂詩織さん登場回。もちろん、オレはTwitterで今回はじめて知ったんですが、スーパードクターKの後継者でもある、今回の主人公の淡い恋のお相手なんですけど、とてもヒロインらしからぬ風貌なのに、ちゃんと存在感を持ってヒロインしているところが面白いキャラクターですね。そもそも登場が169話から、というあたりで当初はここまで引っ張るキャラと想定してなかったところがあると思うんですが、彼女がレギュラー化してくると主人公のキャラの幅が広がって作品自体のバランスが良くなってくるんですね。「えー?」と思ったら初登場回のエピソードに加えて197話から200話までの流れをチェックしてみてください。そのあと、一緒に医大を受けて、同じ病院で研修医をしたりとルックスからは思いも寄らない大活躍をしますから!

● ほほお、西村京太郎『殺しの双曲線』の愛蔵版。これは何度も読み返した本格ミステリの名作!謎解きのアクロバットは他に類を見ない大胆さだし、要素を模倣しての二番煎じすら作りづらいガチのオリジナリティ。もっと評価されていいと思ってるんで、ここにきて愛蔵版という形で多くの人の目に触れるのは良いことだと思うんです。当然、文庫でも内容は同じだから、高くて買えない、ってひとはそっちを選べばいい。なんなら大抵の図書館にならあるんじゃないだろうか?「新本格」ブーム以前の大傑作だと思うので、ミステリ好きは是が非でも!

● なんだか、今日の日記は金持ちのグルメみたいな話から始まりましたけど、我が家は特にそんなこともなく「安く美味しい」ものを食べるには?ということで、結果、自炊が多くなっちゃってるんですけど、安くて美味しいと言えばやっぱり「ふりかけ」。子供の食べ物みたいに思われるけど、大好きなんですよ。先日、池袋東武デパートの巨大ダイソーで、我が家のふりかけのナンバーワン「さるかに合戦」の袋バージョンが売ってたので買いだめておきました。瓶に入ってない分、安くなる!詰替え用だと思えば割安だし、ジップになってるので、このまま出先にも持っていける素晴らしいアイテムです。こんなにおいしいものが100円!

● しょぼくれたオチになった、とか思わないで!「さるかに合戦」食べたこと無いふりかけフリークは、なんとしてもスーパーで探して食べてほしい!もう、ほかのふりかけじゃまんぞくできないことになっちゃいますから!

● お!ウェーブのエンゲージが再販!と思ったら……発売は今年の11月でした。先、長ぇー!!