● ちょっとエモい話を書こう。今日は仕事で池尻大橋に行った。台風のような雨と風で、ビニール傘が大破。そんな中、昼食に飛び込んだのが「香月」だった。池尻大橋に「香月」があることは知っていたけど入ったのは初めてだ。記憶の中のラーメン屋。何しろ、当時と違って店構えがくたびれている。こんな状況でもなければおそらく入らなかっただろう。(なぜなら、本来なら、もうちょっと足を伸ばしてカフェ「太陽」に行きたかったから)。そしてもう20年ぶりくらいに、「香月」のラーメンと再会したのだった。
● 世代によっては信じられないかもしれないけど、ラーメン激戦区、恵比寿の先駆けになったのが、今もこの『らーめん香月(かずき)』と言うラーメン屋だった(チーズラーメンの「九十九」と並んで)。90年代半ばすぎ、バブル真っ只中、といった時代かもしれない。今じゃ小難しいラーメングルメともいう人たちがいるけれど、当時のラーメンの存在感といえば、70年代の札幌味噌こと「どさんこラーメン」のブームは過ぎて久しく、ラーメンを食べるといえば、皆それぞれお気に入りの町中華が定番。あとは環七沿いの「なんでんかんでん」とか、新宿の「桂花」とか、とんこつラーメンが主流。六本木のドラム缶ラーメンなんかの強烈なエグい味を楽しむための嗜好品。「天下一ラーメン」(天下一品ではない)で、ひどいラーメンを食べる行為は「やさぐれ」以外の何者でもなかった。要するに「男の世界」の食べ物だったわけ。ところが!である。恵比寿の街中で評判になった「香月」は一味も二味も違った!背脂がびっしり浮いた(いわゆる背脂ちゃっちゃ系の元祖だろう)甘さのある醤油ラーメン。噂に釣られて食べに行ってみると、確かにこれまでのラーメンでは考えられなかった美味しさがあった。はっきりわかった。全然違う!これは上等なラーメンだ!しかも、食べているのはおしゃれな人たち!これまで見たこともない光景が広がっていた。「東京のラーメンってすげえな!」であった。
● 気づくと行列店になっていたし、そこから1年も経つと恵比寿ラーメンの代名詞になった。本当に美味しかったのだ。その時期、オレの中でも「日本一美味しいラーメン」に違いなかった。それから1年もしないうちに、ポツポツと各所から美味しいラーメン屋の情報が伝わってきた。新興の魚介鶏ガラのWスープで一躍、『麺屋 武蔵』『中華そば 青葉』『くじら軒』が人気店になり、ラーメン評論家みたいな人たちがメディアに登場。老舗春木屋も息を吹き返して、一気にラーメンブームがやってきたのだ。ラーメン博物館ができたのも同じ頃かな。あの時期の盛り上がりが、今のラーメン界隈には引き継がれている。それで、すっかり「香月」には足を運ばなくなったものだけど、「香月」はブームの先駆けだったと思う。数年後、人づてで「値段が一杯1000円になった」と聞いた。今じゃ1000円オーバーのラーメン珍しくもないけど、おそらく大台に乗せたのは「香月」が初だったんじゃないだろうか?
● さて、肝心の「香月」に話を戻そう。飛び込んだ店内は天気のせいか、ランチタイムも終わったせいかガラガラ。仕込みの真っ最中だった。店主がスープを作っている。おいおい、ラーメン屋にとって、スープの仕込みは大事な企業秘密じゃないの?それを客に見せるなんて……。様子を見ていると、しっかり良い感じの昆布を使っていることは確認。おお、さすが、やはりラーメンバブル期の中で抜きん出て人気のあったお店なだけはある。「すげえな」と改めて思った。背脂でテキトーに誤魔化していたわけではないんだね!ただ、問題はそのあとだった。ラーメンタレの仕込みに入った様子を見ていると…ドボリと「万条本みりん」を投入している!ええっ?!あの独特の甘さは「みりん」だったのか!ベタだな!ベタすぎる!
● 出てきたラーメンは、あの頃とほぼ同じだ。器が少し大きくなっていたかもしれない。一口食べて驚いた。あの頃と同じ味だ!他のラーメン屋のラーメンとは明らかに違う。変わらずに「香月」は美味しいのだ!信じて欲しい。「香月」のラーメンは、店構えがくたびれていても、うまいんだっ!!でも……「これ流行りの味じゃないよね」とも感じた。世の中のラーメンは、あれから相当変わってしまったのだ。グレードが二つくらい上がってしまったといっていいかもしれない。ただ、「香月」は「香月」の美味しさをキープしていただけ。

● ……あれ?エモい話じゃなかった?どーでもいい話だった?おかしいな、オレにはとてもエモい話なんだけども。世代&地域限定だな。
● ちなみに、今日の強風&雨はほんと台風みたいで、みている目の前の木の枝がメキメキって音を立てて折れて落ちたよ!!目黒川沿い、まじ怖かったよ!!こんな日に取材とは、ついてない……。傘は大破するし、びしょ濡れだし、湿気で汗かくし!!

● 今日、Twitterで一番びっくりした話!!MXでクラゲウルフ放送日の今日……。
お父さんがMXで仮面ライダー見てるんだけど「クラゲウルフ」っていう怪人がいて、調べようとググって「他にそんな組み合わせないだろ」と思ったら「クラゲウルフ」っていう髪型が流行っているらしく、検索画像がカオスになっていた…。髪型検索した人は「何これ」ってなるだろうな…。 pic.twitter.com/jQhfcP9l8c
— 水谷さるころ/「骨髄ドナーやりました!」発売中 (@m_salucoro) June 4, 2021
● え?どういうこと?と思って検索してみたら‥‥。あ、ほんとだ!!この人も!!この人も!この人も!みんなクラゲウルフ!!世の中には、俺たちの知らないクラゲウルフが!!そして、流行ってた!全く信じられない!恐怖のラッシュアワー!!