『怪獣チャンネル』でおなじみのガイガン山崎さんが、友人のカイザーさん(怪獣ソフビ職人)と一緒に、自宅で怪獣(古代星獣バラモンキングと命名されました!)を作っているというので興味津津で眺めていたんです(詳細は、ガイ山さんのツイッター、およびブログ「怪獣まんだら」で日々読める)。やっぱりウレタンの塊が異形の獣の形になっていくのは面白いもので、目が離せなくなりました。バージェスモンスターを思わせる古代生物的なフォルムも好みでカッコいい。そして、その薄いグレーのウレタンの質感。


● 彩色前。これ、個人の趣味とはいえ、近年のウルトラ怪獣に決して負けない、いや、それを超える、アマチュアとは思えないクオリティなんじゃないか!と。

● さらに、ツノや目が発光(なんとツノはリレー電飾!)するにいたっては大興奮。それを見ていたら、リアルってなんだよ?と思い立ちました。リアルな生物は、目が光ったりしないぞ!と。


● いよいよ彩色。赤めのブラウンとグレーがかった青もいい感じだ。これで怪獣映画が一本撮れそうだ。いいなあ、怪獣。と思っていたらガイ山さんが「もっと鮮やかな赤に塗りかえよう」と言い出した。その方が「超獣」的だ、というわけだ。なるほど、確かにそうなんだけど、ここまで本格怪獣的に完成しつつあるものを、超獣に?それはちょっともったいないのでは……と一瞬は思いましたが、はたと気がついたのです。確かに!!こいつは、もうちょっと派手な方が映えるぞ!そして、怪獣のリアリティラインについて考えを改めたのです。

● 昭和の時代から、地味で獣的なカラーリングの怪獣の方が、確かに大人っぽいという印象がありました。パゴスしかり、マグラしかり。でも、待てよ?と。獣であるにも関わらず透明パーツが付けられ、発光したネロンガはどうだ。真っ赤なヒレをつけたガボラはどうだ。機械的な装甲をまとったザラガスは?むしろギリギリのリアリティラインを超え、赤や青の原色に彩られたた「超獣」たちのカッコ良さは?結局、初期怪獣派だろうが、超獣派だろうが、結局はリアリティラインのグラデーション上の問題であって、リアルな獣ではない(フォルムは当然のこと)ところにその魅力を感じていたのが怪獣ファンなのではないか?と。かくして、バラモンキングはこんな感じでフィニッシュ!

● うん、いい。これでいいのだ。そして、ドライブラシが入ってみれば、この配色、結構かっこいい。個人的には、スタイリッシュになったカウラ?または締まりのあるワルギルガーという感じのカラーリングで決してコミカルにはなっていない。これもまた、リアルのグラデーションに過ぎない。オレの中では十分許容範囲内。このギリギリ、リアルを飛び越えた雰囲気にこそ「怪獣」のコクがあるわけなのだ。(各種画像はガイ山さんに圧力をかけて図々しくも流用させていただきました)

● リアル、リアルとこだわるのはやっぱりナンセンスなのですよ。オレたちはリアルの向こうにある怪獣が大好きなまま大人になってしまったんだから。いや、怪獣が大好きな気持ちというのは、大人になりきれなかった部分なのか。リアルなんてものは、ビジネスマンにでも食わせておけ!(もちろん、怪獣とは別のところで、ビジネスは大事)。