● なんか、友人から「SPEC評書いて」ってリクエストが来たんで、色々思ってる事書いておきます。評っていうほどの事じゃないんです。とにかく、久しぶりにドラマで心から楽しんでるのがSPEC(正式タイトルは「SPEC〜警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿〜」)なんで、露骨なファンレターに近くなっちゃいそう(笑)
● このドラマの一番すげえなあと思ってる所は、お話の流れが完全に、マンガ、アニメ基準なところ。どういう意味かというと、テレビドラマって、多くの場合はダラダラ観る視聴者のために作られてるもんなんですよ。だから、丁寧に説明するし、映画と違って比較的時間の余裕があるんで、ちょっと見逃しても解るように、わりと何度も同じ事を言わせるんです。これは、善し悪しではなくて、スタイルの問題。とても解りやすく作る。キャラクターの言動も、かなりの確立でブレすに一貫してる。じゃないと、視聴者が付いて来れなくなっちゃうから。アレ?と思われたらまずい、という発想なんですね。(もちろん、ここぞ!というところで、意外なアクションを見せてカタルシスをもたらす、ってのは演出する事もありますよ!)だから、熱血野郎とか、クールな二枚目とか、頑張り屋の少女、みたいなありふれたキャラ造型の方が、馴染みやすいというジャンルなんだと思います。そして、ストーリー進行に余分な情報量は少ない方がいい。(これは本来の物語の作り方でもありますが)
● これと相反してる部分で「面白さ」を作れるジャンルが、オレはアニメだと思ってるんです。もっと明確に言えば、オタク系アニメ。アニメに親しんでない人が、拒絶する部分ってのもここです。過剰な情報の積み重ね。思わせぶりなセリフによる伏線の山。常規を逸脱したキャラクターの面白さ。本筋に関係ないお遊び。安易な事言うと「エヴァンゲリオン」なんてモロ、そういうアニメだったし。アニメ的なマンガでいうと「FSS」とか。「SPEC」は、まさにそっち側の面白さを追求してるドラマなんですよね。ヒロインが、天才で、味音痴の大食漢で、無礼で、片手を失っていて、ダサくて、カートをいっつも持ち歩いていて、って、どんだけ情報量を持っているんだ!と。お話の展開だって、初期は、一応、一話完結的なイメージで進行してたけど、ここ数回、そういうお約束すら無視して突っ走り出してるんですよ。これは、お茶の間で、ダラダラテレビ観ようって視聴者にはキツいと思います(’∀`)
● それにしても、戸田恵梨香。スーツに白い靴下というイケてない感じが、天才っぽい(まあ、観てる分には天才には思えないんだけど)感じを出してて凄くいいですよね。この感覚、初めてエヴァで綾波の黒い靴下見たときの感じに似てるんですよ!(あの当時、黒い靴下履いてる女の子なんて少なかったと思うんです)おまけに、片腕、包帯で吊ってるし!綾波も、今でこそ「美少女枠」に入れられてるけど、劇中での扱いって「なんかキモイ女の子」だったじゃないですか。無口で、無表情で、いつも怪我してて、家はなんだか薄汚くて。そんなキモイ女の子が可愛い!って思っちゃうシンジくん(及び、綾波ファン)のセンスがオタク的なんですけどもね。だから、戸田恵梨香演じる当麻、という女刑事も、健全な男子には人気ないんだろうなーと思っちゃいますよ。
● 毎回、彼女が食べてる餃子も、マズそうに撮ってますもんね(たまに、TwitterのTLで「SPEC観て餃子食べたくなった」ってつぶやき観るけど、オレはその人の食べ物に対する感性信じられない)。これも、綾波のニンニクラーメンチャーシュー抜きと同じようなもんでしょ?味音痴のヒロインなんて、面白すぎるじゃないですか!
● とにかく、そんなような情報過剰の作り方がマンガチック、アニメチック(もちろんマンガもアニメも、そういうのばっかりじゃないです)だから、オタク癖のあるオレなんか面白くってしょうがないんですよ。この感じ、これまでの堤幸彦作品の中でも一番強烈なんじゃないですかねえ?
● 大正村(どこにあるのか、よくわかってない)のキャラクターがまた萌えキャラ路線だったわけなんですが、これは、まあ『萌え』+『マスコット』文脈として破綻してない。ちゃんと可愛いし。それだけに、インパクトもちょっと弱かったかもしれないけど。例えばNHKの天気予報の「春ちゃん」なんて、あきらかに色々微妙なのに(笑)、コミケで公式グッズ販売されるわ、ねんどろいどになるわ、という話題性。ちょっと、このあたりのさじ加減は微妙だよねえ。せんとくんと、まんとくんの時にも思ったんだけど。と、いうかこういうの、時の運とか、巡り合わせだと思うので、コントロール出来るさじ加減じゃないと思う。だから、キャラ造型は、あくまで優等生的に行う、というのがせめてもの保険だとは思うんですよ。
● 白いブラックサンダーというのが、通販限定商品であるんですね。根本的に矛盾している面白さなんだと思うけど、こうなると、「白い恋人ブラック」というのもアリなんじゃないすかね。と、思ったら……あるのかよ!!