● 元気ハツラツオロナミンC!テレビで『巨人の星』を観ていると必ずコンちゃん(大村崑)がCMに出てきて勧めてくるんだけど、実際に飲むことはあまりなかったと思う。親が買ってこなかったのはジュースなんだか、クスリなんだか、その宙ぶらりんなイメージのせいかもしれない。実際、コーラを飲むことも少なかっったので、今でもオレは「炭酸」のシュワシュワがあまり得意ではないのだ。

● そのオロナミンCのCMで「なんだかよくわからないけど、気持ち悪そうだなあ」と思ったのが「オロナミンセーキ」だ。CMでは、割と育ちの良さそうな男の子が「僕は卵を入れてオロナミンセーキ」と嬉しそうに飲んでいる。

● しかし、炭酸のさわやかなイメージのオロナミンCに生卵を混ぜるというレシピに、子供の頃の自分はかなりギョッとしたものだ。冷静に考えれば卵の黄身はカスタードクリームにも使われているわけで、甘いものとの相性は決して悪くないはず。やはり生卵と言われると白身も入れるのでは?と想像してしまうからかもしれない(ただし、オロナミンセーキに関しては卵の黄身だけを使うので心配ご無用なのだが)。まあ、そんな事情もあって、自分の中では「飲んだことはないけど、思い出の飲み物」という枠の中に入っていたのがオロナミンセーキなのだ。それが、なぜだか急に思い出されてしまった。本当に、きっかけがなんだったのかもわからない。ただ、今、このタイミングで飲まなければ、おそらく一生飲むこともないんじゃないか、と言うことは理解した。行ってみるか?そんな考えで、ついに禁断のドリンクに手を出そうと考えたのだ。

● 作り方はレシピ(公式サイトにもある)に忠実に。とにかく簡単だ。卵の黄身を白身と取り分けコップに入れる。そこで、黄身を崩して、よく撹拌する。飲み始めて、黄身の塊がドロッと出てくるようでは興ざめもいいところだ。

● そこにオロナミンC1本を注ぎ入れる。みるみる泡立つオロナミンC。やばい!これはやってしまったかもしれない!?一瞬、恐怖感を覚えたものの、匂いを嗅いでみると、なんだかいい匂いがしてくる。これは混ぜて発泡したことによる効果なのかもしれない。いわゆるオロナミンC特有の甘い香りだ。そして気づく。あれ?なんかいい匂い!!

● 実にあっけないが、これでオロナミンセーキの完成だ。早速、匂いにつられて飲んでみる。あ!意外にこれはいける!一口飲んで確信した。心なしか、オリジナルのオロナミンCよりも甘さが際立っているようにも思える。そして若干のコクもある。さらに炭酸の刺激は和らぎ、かなりの微炭酸具合に。元からそこまで強炭酸ではないけれど、かなりデリケートな飲み心地になっている。年少者が飲むにはぴったりの味かもしれない。なんだ、意外にうまいじゃないか。ある意味拍子抜けした感じもする。とにかく、オロナミンセーキというのはそういうようなものだった。発見があったと言えばあったけど、そこに驚きはなかった。なんだか子供の頃の幻想が崩れてしまったような気がして、ちょっとだけ寂しい感じがした。

● 子供の頃のロマンを大切にしたい昭和の子供達よ。もし、まだオロナミンセーキを飲んでいないならば、考えどころだ。謎とロマンを先送りにするのか?それとも自分の子供時代に決着をつけるのか?選択はあなた次第だ。オレは、今日、決着つけたので、お先に行かせていただく。さらば、小学生のオレよ!

● ちなみに、オロナミンセーキを飲むには何の面倒もいらない。たいがいのスーパーで売っているし、きっと家の冷蔵庫には生卵が入っている家庭も多いだろう。すぐにでも出来るはずだ。強いて言えば、取り分けた白身の処分だけど、オレはイタリアの種馬よろしく「コップに割り入れた生卵をごくごく飲めるタイプ」なので何の苦労もない。