● 久しぶりにバラエティ番組に携わることになって、いろんな実作業がふた回りくらい変化していていて、「ああ、これはクオリティ下がるの当たり前」と感じるようになりました。まず、制作予算が削減され、バラエティ番組とはいえ「放送作家」に台本を発注することがなくなってきたということ。「ギャラ安くて申し訳ないので、台本まで書かせませんので、アイディアだけください」ということ。結局、ディレクターが台本を書いている。当然、番組に必要なネタを調べるリサーチャーさえ雇わなくなったのが20年前だから、ディレクターは、リサーチもやって台本も書いてロケ行って編集もする!それが10年くらい前から増えてきたんですよ。

● で、問題はそのリサーチ。40年前の地上波黄金期、しっかりリサーチャーにお金が払われていた時代は、大宅文庫で雑誌記事検索。国会図書館や各局の資料室で、新聞、過去ニュース検索など終えた状態で、専門家のもとに出向いて取材されていたわけですけど、リサーチャーがGoogleだけで仕事をするようになっちゃったんです。それでしばらく番組が作られて来た。ネット発のネタ動画が気軽に引用、使用できるようになって「それならyoutubeでいいよ」って空気になったのがここ20年くらいの、テレビの凋落だと思うんです。

● それがさらに加速して、今、忙しい中でリサーチまでやらなきゃいけないディレクターは「コスパ」とかい言葉に後押しされて、リサーチや台本をchatGPTとか、perplexityに代行させるんですよ。結果、「聞いたことのあるようなネタ」しか上がってこないんです。あまりに貧相なネタでVTRを組み立てようとしているので、もうちょっとないの?と聞けば「これくらいしか出てこないんですよ」と言われる。別のディレクターにリサーチお願いしてみると、寸分たがわず同じネタがあがってくる!!(リサーチ結果の書式が独特なので、ソースが同じものだとすぐわかる)。

● 最悪、パクりと言われてもいいから、せめて雑誌や新聞検索からもネタ拾ってきてくれないか?!とも思うんですよ。そこから追加取材すれば、新しい情報が掘り起こせるかもしれないし!まあ、やること多いから、大変なのはわかるんだ……。原因は単純に「予算」予算がなくてリサーチャーが雇えない、ってことに尽きるんですけどね。なんなら、気がつけばちょっと前までイラストレーターに発注していたイラストも生成AIで出力したものになってる番組が出てきたし、先日はsora2で動画生成してロケを減らせないか、みたいなバカを言い出すプロデューサーも出てきたりして「もうダメだ……」って気分になっています。(現実化しかねない)

● だから「金が湧いてくる」(国民からほぼ強制的に徴収してる)NHKは強いなあ……。レギュラーの1時間番組、一回放送分作るのに3ヶ月もかけていいくらい、予算が潤沢なんだから……。どの制作会社も尻尾振るしかないわけだ。映像の民主化で、日本のテレビはネタも映像クオリティもすべてがYouTubeと横並びになっていくよ。そうなれば一番強いのは、映像美とかカメラワークとか二の次にしていいタレント主導のYouTubeになっていくのは必然ですね(そもそも大半の視聴者は映像クオリティの良し悪しを判断する審美眼はないわけです)。

● そういえば、吉祥寺のジュンク堂でおすすめ平積みされていたドゥーゼのミステリ『スミルノ博士の日記』を読み終えたんですよ。翻訳は古いけれど、決して読みづらいと言うほどのこともなかったんですが、適度にゆるくて、うーん、クラシックすぎた!というのが感想です。「こんなのあったんだー」程度でしか楽しめませんでした。残念!この「今どきは凡庸」と感じるプロットに対して「再発見」という目線が持てるのは、オレなんかよりもっと上級者でないと……。なので、上級者で、未読の方にはおすすめします。

● タカラトミーの「ムーミンのキャンプマスコット」いい!テントが付くと俄然魅力がアップすることがわかります。もはや「このガチャ回したい」よりも、「我が家のムーミン用にテントと焚き火を作りたい」に気分が向いちゃうな。

● 夜は久しぶりに我が家パスタ。ツナ、玉ねぎ、大葉を入れたアーリオオーリオ。味付けは塩とコンソメで、オリーブオイルめちゃ多め。上手にできたよ!にんにくとオリーブオイルを食べてる感じで、美味い!コレ、コレ!っていう感じ。

● 急に「放送作家モード」に入った今週なんですけど、思ってた以上にストレスなく移行できてる気がします。やっぱり長年やってるから体が覚えて……いや、脳が覚えているんだな。あ!脳が覚えているのは当たり前だった!