● 時間が惜しくて、今日は早起きして朝8:00から映画へ。巷で噂の『カメラを止めるな』。小さな規模の映画なのに、新宿東宝シネマで結構大きめのハコ。しかも、それがこの時間なのに、ほぼ満員。劇場による差があると思うのですが、新宿東宝は如実にネットとかの人気に忠実なスポットなんだと思います。これは、ほんと「口コミ」で当たってるタイプだな、と実感しました。CMもさほどしてないのに、このお客の入り具合はすごいです。

● 「何も事前情報を入れないで観ましょう」という触れ込みだったので、極力情報を遮断して望んだのですが、「すげー面白かった」という感じではなく、「なるほどねー」な感じで、印象としては「ディティールをちゃんと詰めた『三谷幸喜』の芝居」みたいな印象を受けました。(三谷監督や本広監督って、そういうディティールで失敗してること多いんだよな、って気がするくらい、この映画はちゃんとしてる)

● よく聞く映画評として「よく出来てる」っていうコメントあるじゃないですか。あれって、誤解を招く言い方になるので、最近は避けるようにしてるんですね。オレはちょっと前までハリウッドのブロックバスターとかで、「広い観客に向けてサービスが行き届いている」という感じで使っていたんですけど、受け取り方のニュアンスが人それぞれなんで。で、もう一つ「よく出来てる」っていう言い方されるのが、限られた予算の中で「ちゃんと考え、頑張るべきところを、きちんとやっている」映画。本作は、後者の意味で「よくできた作品」だと思います。

● ただ、みんなが言うほどの「驚き」も「感動」もそれほど感じなかったのは、映画に限らず、似たような構造の作品を過去に観たり、読んだりしているからだと思うんですよ。これは、知ってるから偉い、とかそう言うことではなくて、単純に経験値の問題。こう言うタイプのものに触れていなければ、そりゃあ「驚く」し「感動」もするかもしれない。だから、「面白い」って、本当に人それぞれなんだろうな、と思います。この作品は、中盤からある種のパラダイムの転換があるんですけども(ネタばれ、するなって空気を世間の風潮から感じて、わかりにくい言い回しになっているけど)、個人的には「ええっ?」って言うおどろきより、むしろ「まあ、こうくるよね。はいはい、そうなるよね」っていうベタな感じで「安心して楽しめる」という状態だったんです。前半戦のギクシャクした作り(伏線にもなってるけど)の方が、むしろ「えー?こんな映画、あと1時間も観るの?」っていう意外性がありましたからね。

● で、勢いに乗って、今日は二本立て。昼からは新宿ピカデリーに移動して『ミッションインポッシブル:フォールアウト』も観ちゃう!贅沢!こちらは前作『ローグネイション』がシリーズ中、最高!って思ったので、それはそれは期待していったわけなんですが、正直、ちょっとだるい。いや、見世物としてはゴージャスな絵もあるし、面白いんですよ。ビジュアルは本当に綺麗!!だから観て「時間無駄にした」とは思わない。ただ、計算されていない豪快なアクションが、なんだか思いつきのように繋がっているだけだから、だるいんです。リズムも悪いし、緩急も特にない。「せっかく撮ったから、使っとく?」みたいな感じなんですよ。シリーズならではの謀略や、裏切りは、ちょい複雑だけどトリッキーなところもあって楽しいんですけど、オチは「結局、トムの根性」だったりするしな。ゴリ押し、ってこういう映画に使いたくなりますね。上映時間もこってり長めで、ラストの方はどうでもよくなっちゃうムードありました。

● しかし、スタント使ったり、CGで処理してもバレないのに自分でやちゃうトムは、どうかしてるなあ。

● 序盤に出てくる中ボスクラスのキャラが、トムとヘンリーカヴィルの二人がかりでもかなわないほど腕っぷしが強かったのには驚きましたね。あいつ、今作の中で最強だよ。サイモン・ペッグのキャラもすっかりお馴染み感が出て、テレビシリーズっぽい感じなってきているので、とっとと「ちゃんと内容を整理して、次の新作を見せて欲しいな、と思いました。

● 最後に、珍しくどうでもいい感じの毒を吐いておくけど、シチュエーションとかいい加減で、菅田将暉に変顔させて絶叫させて、「はい、面白い映画ですよ」っていうような予告編のセンスは本当に悪いと思う。ほんと萎えました。今日、二回も観ちゃったから。