● 先週から読んでいた『昭和オカルト前史研究読本』読み終わりました。ASIOS(超常現象の懐疑派グループ)の面々が「ここでがっちり調査した結果をまとめる」という意気込みで書かれたであろう1冊。情報の塊になっているところに圧倒されました。中岡俊哉、斎藤守弘、南山宏あたりの、オカルトライター的な仕事を丁寧に調査して、各個人の趣味や時代ごとの傾向までも探っているあたり、面白かったのですが、後半戦「神代文字」あたりになるとさらに加速度を増していく感じがすごい。吾郷清彦という作家(自分は知らなかった)の著作史については、いつ頃にどんな本を購入して、どんな人物と接触したか、まで事細かに調査されていて、「これは人物伝」というレベルにまで踏み込んでいるんですよ。すごい!!

● そのあたりで出てくる「半村良」「竹内文書」あたりのキーワードで思い出しました!ああ、オレ、それ知ってる!父親の店に並んでたやつだ(ほかは、山田風太郎とか泡坂妻夫とか佐野洋とか)!!自分が中学生の頃に、父がそんな本を読み漁っていて「これは面白いぞ」と内容を説明してくれたことが何度かあったんですよ。だから読んでない半村良の小説も中身を知ってたりする(解釈が間違ってたりするかもしれないけど)。『石の血脈』とか『黄金伝説』とかは、後年になって実際に読みましたが偽書によって紡がれた伝奇ミステリ!で、自分も面白い!と思ったはず。そのあたりをモチーフにした作品も諸星大二郎「妖怪ハンター」から荒俣宏「帝都物語」、大塚英志「北神伝綺」まで、いろんなものを楽しんできたわけですから……。

● 記憶を探ると父は「バビル2世」のアニメが始まるときに一緒に観たぐらい「超能力」も好きだったけど、ビリーバーではなかったようで何より。いろんなことを思い出しながら『昭和オカルト前史研究読本』を読み終えてみると、オレ、オカルト大好きだったな、と自覚しました。「竹内文書」経由で偽史にハマって陰謀論(当時そんな言葉はなかったと思うけど)に走った人。宗教に走った人。様々だと思いますが、オレは好きだったマンガやアニメで「怪しげなもの」を楽しむに至った派でした。オタク(いにしえの意味で)のルーツだ!!ああ、60年代に「アガルタ」というヘンテコな翻訳本があるのも初めて知りました!石森章太郎『アガルタ』のネタ本があったのか!!

● というわけで、この本と合わせて『何かが空を飛んでいる』が面白かった話を日記に書いたら、宮さん(駿ではなく昌太朗さんの方)から、同じ著者(本名の横山茂雄名義)の『霊的最前線に立て!: オカルト・アンダーグラウンド全史』も面白いですよ!とアドバイスを貰い、「そういえばウィッシュリストに突っ込んだままだった!」と思い出して勢いで購入しました。宮さんが言うんだから面白いんだろう!(ビリーバー的発想)早速買ってきましたよ!

● そして、先日、我が家には今のオカルト読書とはなんの関係もなく、数ヶ月前に予約してあった復刊ドットコム『仮面ライダー』《オリジナル構成版》の「 上巻」が届いたのでした。家に中公文庫もあるし、電子書籍でも持っているんですけど買っちゃいました。10年くらい前に雑誌サイズの復刻版が出たときには「もう持ってるし、かさばるからやめておこう」と思っていたんですけど、今回はついに金を出しましたよ!当時のカラー部分は4C、2Cを共に再現!観て、このカッコ良さ(大好きなカット)!漫画版蝙蝠男も最高!

● マンガとしての弱点はいろいろあるんですけど、やっぱり漫画版「仮面ライダー」は特別なんですよ。テレビの仮面ライダーとはまるで違うけど、やっぱり自分の脳内では、テレビを補完する大事なパーツでもある。リアルタイムで少年マガジンで読んでいた、という思い出も込みですが、この漫画版のカッコ良さは何事にも代えがたいものがありますね。『シン・仮面ライダー』はマンガの面白さを睨みつつ、TV版への思い入れで作られていたけど、融合というにはあまりうまく行ってなかったかも。難しいよね、カッコ良さの種類が違うんだから……。

● もう、何回目になるのかわからないけど読み直し、作品のクオリティに満足しています。馬鹿みたいに面白い!!ただ、どうして?と思ったのは、収録されているい予告編や新聞広告に使われたカットが収録されてるの、嬉しいんだけど出典が明記されていないんですよ。また、早瀬マサトによって新規で着色されたページもあるとのことなんだけど、どのページがオリジナルで、どのページが新規着色なのか?それも一切明記なし。「オリジナル仕様」を求めていた読者にとっては、わりと重要なことだと思うんだけどなあ……。ともあれ、下巻が届くは来年2月……。待ち遠しいぜ!