● 今日は、昼からリモートで取材あり。無事終わりましたが、すでに取材済みの原稿が2つも未提出なので、これで合計3つの原稿を抱えることになってしまいました。バタバタする年末に向けて、真面目に文字起こし進めています。
● 先日、模型の王国浅草物件に行った時、まだ山ほどある原八さんの遺品の形見分けのような形で、いただいてきたものがあります。整理をしていた大森さんが「このあたり、始末しきれないので全部持っていっていいですよ」というんで、ジャンク箱を覗いたらデカいレジンキットが目に入り、手に取ってみたら「ドイツの特殊潜航艇、ゼーフント」だ!こんなレジンキットが存在してたのか!(プラモだと、ブロンコモデルから1/35のが出てたけど……)バーリンデンが出していたということ知ってたけど、もしかしたらそういう貴重なやつ?いや、でもあれ、エッチングとかのマテリアルパーツがあったはずだけど、そこは欠品かあ。「でも、形見分けいただくなら、こういうのだよな」と思って、チョイスしていただいてきたんです。(他の方々はこの潜航艇がなんなのかわからないみたいで、ピンときてないようだったし)

● 自分がなぜ、こんなにゼーフントについて予備知識があったかというと、オレが大好きな映画『ローレライ』(酷評する人も多いけどオレは好き!樋口真嗣愛してる!!)に登場する「N式特殊潜航艇」(妻夫木聡と香椎由宇が乗り込む、ローレライシステムのコア!)こそが、ゼーフント改修型なんです。設定では伊507潜水艦は、フランスの潜水艦シュルクーフをドイツ軍が改修。そこにゼーフントをベースにしたローレライシステムをドッキングさせた、ということになってるわけです。映画に出てくる伊507はシュルクーフをベースにかなりヒロイックなスタイルにアレンジされてますけど、N式もたがわず、ゼーフントをよりSFメカに近づけたスタイルになっていました。そんなわけで、当時それなりに資料を探したり、ブロンコモデルのプラモを買ってN式に改造してみようかと思ったことがあったからです。
● で、家に帰ってきて改めてながめていたら、どうも記憶の中のゼーフントと違う。欠品と思ってた肝心の艦首はともかく、もしあったとしてもボディランが繋がらないように思えて……。で、ネットでバーリンデンのレジンキットを調べたんですが、やっぱり全然別物なんですね。その結果、これが、そのものズバリの「N式特殊潜航艇」のガレージキットだ!ということに思い当たりました。それなら艦首がないのが理解できます。「N式」は伊507に合体させるためにゼーフントの艦首を切り取ったスタイルだから。そう考えたら艦首にボディラインが繋がらないのは納得なんですよ!!大好きなメカの原型かと思ったらそのものだったというオチ!ボディのディティールとかなかなか精密で出来はいいし、これはいいものをいただいちゃったぞ!!と思っていたんです。そもそもこんなレジンキットが存在したことを知らなかったので!
● で、そこから早速再調査。でも、ネットで検索かけても「N式」のレジンキットを出していたディーラー、メーカーなんて出てこないんですよ。さらによくよく見たら、このキット、ディティールとかめちゃくちゃできが良いのに、ボディに明らかにシリコン型の欠損と思われる不要な箇所があったり、魚雷を接続するパーツがダボもなく芋付形式。セイルに当たる箇所は抜き損じでパーツ欠けがあったりするんです。ディティール精度は高いのに、売っていたとは到底考えられないレベルの「商品としてはエラー品」というアンバランスさ。そして、どこにもマルシーの刻印がない!どこかのメーカーのものにせよ、当日版権品にせよ、刻印されてないのはおかしいんです。え?無版権なの?なぜそんなものを原八さんが持ってたの?と、ここまでが現状、このブツに関する確かな事実です。
● ここからはあくまで想像のお話なんですが……これ、もしかして……撮影に使われたプロップの複製品だったりしないかな?ということ。撮影に使われた伊507のプロップって、海洋堂に保管されてるけど、そいつに使ったN式であれば、合体部分の艦首がなくて当然。さらに、当時、海洋堂から出ていた「ローレライ」ボトルキャップのN式は原型を原八さんが作っていたんですよ。それで、原型を担当していた原八さんのところに「参考用にプロップ複製品が流れてきていた」可能性もあるのか?と。だったら、できが良くて当たり前だし、マルシーないのも当たり前だし、商品としてエラー品でも問題ない(あくまで、新規フィギュアの参考用なわけだから)し……。これが現時点での推測なんです。正解は、持ち主の原八さんに聞かないとわからないもんなあ。確認が取れるとしたら……当時の関係者くらいしかいない……。
● オレはとんでもないものを入手してしまったのかもしれない?!(『ローレライ』ファンだけが嫉妬するやつ)そんなわけで、今はビニール破くことすらためらいが生じています。そして『終戦のローレライ』は福井晴敏作品の中でも最もガンダムに近い(『月に繭 地には果実』は除く)小説で、たいへんおもしろいので、未読のガンダムファンはぜひ読んでおくと良いと思います。たぶん小説『機動戦士ガンダムUC』より、面白い!まだ、BOX入、海洋堂フィギュア3点付き特装版も売ってるじゃないか!(余っちゃってたんだなあ)オレは当時購入済だ……。樋口真嗣の装丁がめちゃナチ仕様でいいぞ!
